はじめに

昨今、「Web3.0」という言葉を聞いた事はありませんか?今知らない方でも、社会を大きく動かす技術のトレンドとなり、急速に発展して行く事になります。その為に、Web3.0に対処できるエンジニアの育成が急務になると同時に、現在はWeb3.0の求人も増えています。

Web3.0とは何か?

Web3.0を説明する前に、Web1.0とWeb2.0を説明したいと思います。

Web1.0とは、ネット上に会社や個人がウェブサイトを公開し、閲覧者からの反応を得る事をせず情報を「相手の都合を考えない」で発信し、閲覧者はその情報を見る、読むだけの時代をWeb1.0と言います。今では考えられない事と思います。しかしながら、「相手の都合を考えない」で発信しているウェブサイトは今でもあります。当時はダイヤルアップやISDNを利用して為、普及するまでに多くの時間とコストを要しました。

Web2.0とは、前述したWeb1.0とは違い、誰でも、ネットを経由して情報を発信できる事と、その情報を閲覧等出来るようになった事をWeb2.0と言っています。あるSNSに誰かが情報を発信したとします。その発信された情報を閲覧者がコメント出来る、いいね!でアクションする等もその1つです。利用者の急増に伴い、情報量が増え自身に取って、情報を取捨選択する必要になってきたのもあります。普段使用しているサービスやアプリは、GoogleやAmazonなどのGAFAが多くのサービスを無料で提供していますが、利用者の情報が集約されており、その嗜好等の情報を元に、有効な広告配信を提供するなどがあります。企業からは便利な反面、利用者からは、情報、ネット上の嗜好や行動履歴が集約されている事が問題となっており、それらの解決を目指しているのが後述するWeb3.0になります。

Web3.0とは、Web2.0とは異なり次世代型のインターネットと言われており、管理者が不在で透明性があり誰でも自由にやり取りできるよう、特定の企業にデータが集中しないよう(分散)にする新しいインターネットの概念です。今まで、何か情報を調べたり発信する、動画を視聴したり配信する場合、GoogleやInstagram、YouTubeなどのプラットフォームを利用するのが一般的で、そこには管理者とルールが存在します。違反してしまうと、アカウントが無効になってしまう、一定の期間サービスを利用出来なくなってしまう可能もあります。しかしWeb3.0では管理者が不在なのでユーザ同士でデータを管理する、コンテンツをやり取りする事が可能となります。昨今は、ネット回線のコストもリーズナブルになり、5Gの普及で大容量のデータ送受信がやり取り可能になり、Web3.0への利用も増えていく事と思います。

Web3.0の事例について

Web3.0で使われているものは、多くあります。代表的な3つを説明したいと思います。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、Web3.0で必須な技術であって、ネット上で行われる取引に際して、安全にセキュリティー面を高くして記録できる事が可能です。2008年に、ある人物がP2Pネットワーク上で、電子マネーをやり取りできる仮想通貨「ビットコイン」を発表しました。このビットコインを実現する技術として使われているのが、ブロックチェーンです。今から20年前に公開されたファイル共有ソフト「Winny」は、ブロックチェーンにも用いられている通信方式であるP2Pを発展させた分散型システムでありますが、著作権の侵害や違法行為等々で世間を揺るがす多大な問題を数多く引き起こしました。

特徴は、下記の通りになります。

  • データを世界中に分散・保存し更新する事が可能
  • データの改ざんを防ぐ仕組みが入っている
  • 金融・医療や行政などで、多くの業界で幅広く利用する事が可能

NFT

NFTは商品の鑑定書であるように、商品のデータが複製(コピー)・イミテーション・カモフラ―ジュされたものではなく、一切の不正なしに所有されている事を証明します。
故に、オリジナルのデータである事の証明になり、商品の正当な価値を付与する手段となります。先般、
フランスのリーグアン所属のパリサンジェルマンがジャパンツアーの一環として来日しました。その際に、クラブ史上、初めてジャパンツアーの写真をNFT化すると発表がありました。NFTを取り入れているのは、写真、芸術、電子印鑑 などになります。

メタバース

メタバースは、ネット上に作られている仮想空間を言います。仮想空間を利用するには、自分自身の分身である「アバター」を利用して、あたかも現実世界と同じような行動(人と話をする、モノを購入する)など、現実世界でやっているかのような体験を行う事が出来ます。されにはメタバースで購入したものが本物である事を示す必要があります。その証明を担うのはNFTです。メタバースでの支払いは、暗号資産が主流となって行くものと考えられており、故にメタバースでの取引行為はNFTと暗号資産がますます重要になると考えております。

メリットは、下記の通りになります。

  • 現実世界では体験できない事が、メタバース上で体験する事が可能
  • 自分とは異なる自分で楽しむ事が可能
  • 現実世界とは異なり、メタバース上のあらゆる世界を、何度も同時にいつでも楽しむ事が可能

Web3.0のリスク

Web3.0は、これまでの環境が一変しますので、リスクも当然あります。
・利用者は自分自身で身を守る、自己管理を徹底する必要があります。
パスワードを忘れてしまうと、取り出す事が出来ません。ウェブサイトにあるパスワードを忘れた場合はこちらへ というフォームはありません。

・悪意ある第三者に情報を搾取されても、自身で対処する必要があります
マニュアルやサポートセンターがありませんので、利用する上で敷居は高いと思います。

・上記に絡んだ詐欺が発生する
新しいサービスが提供されると、悪意ある人間はお金を稼ぎます。困っている方々を鴨ねぎと判断して善意につけ込んだ悪意が横行して行きます。

・まだ法整備がなされていない
Web3.0はまだ新しい概念であり、法律が追いついておりません。仮に法律が出来ても、制限が狭まってしまう可能性もあります。

Web3.0のエンジニアに、未経験からなれるのか?

まずはWeb3.0で使われている言語を習得する必要があります。その中でも、Solidity、Rust、Vyperなどになります。JavaScriptやPythonと非常に似ている部分が多く、似た構文を書く事でプログラムを動かす事が可能です。故に、難しくはないと思います。次に参考書や問題集などをゼロから理解するのではなく、分かる所までで、自分自身で構築したいアプリ等を作る事がのも良いと思います。未経験からWeb3.0のエンジニアになる事の近道であると思います。

SolidityはJavaScriptと似ている構造を持っているスマートコントラクト開発のための言語です。この言語では、改竄されにくい投票システムや暗号資産を取引したい人同士が直接取引することが可能なDEX(分散型取引所)などを作成出来ます。

Rust はマイクロソフト社やグーグル社なども注目している言語で、速度、そしてメモリの安全性に配慮され、併せて並行処理にも適しているため、OS等のシステム作成に適している言語です。

Vyperは、Pythonと似ている構造を持っているスマートコントラクト開発のための言語です。Vyperは、プログラムが複雑になる機能が予め備わっておらず、Solidityよりもセキュリティーを高める事が出来る言語です。

まとめ

Web3.0は非常に注目されているIT分野であり、今後もさらに必要性が高まっていくことが見込まれます。Web3.0で使われる言語は、複数ありますが、現在も幅広く使われているJavaScriptやPythonと似ていますので、難しくはないと思います。Web3.0についてオンラインで学ぶ事や書籍で勉強してみてはいかがでしょうか?少しでも参考になれば幸いです。