Web3の話題がよく聞かれるようになりました。
毎日のように仮想通貨やNFTがニュースでよく取り上げられ、その基盤となるブロックチェーン技術が身近なものになっています。
これまで漠然と理解していた人にとっても、ますます発展していくWeb3の基本を押さえることは大切です。
今回は、Web3の発展によって生み出される新しい職業を解説します。
これを理解するために、Web1からWeb3までの流れや、Web3のメリット・デメリットも押さえるとわかりやすいので、あわせて最後までお読みください。

Web3とは


Web3が発展するにつれて、次のような職業が注目されています。

  • ブロックチェーンエンジニア
  • 金融アドバイザー
  • AIエンジニア

これらは、Web3と密接に関連しているのです。
これらの新しい職業に触れる前に、まずWeb3とは何かを復習しておきましょう。
必ず理解が深まります。

Web3を理解するための要素は、次の3つです。

  • メタバース
  • ブロックチェーン
  • AI

メタバースという仮想空間に、ブロックチェーンという改ざんできない仕組みを使って、やりとりされる膨大な情報をAIが処理していく世界となります。
Web3によって、現実社会のお金や金融サービス・身元のはっきりした商品などが、仮想世界のものと置き換わります。
たとえば、仮想通貨やNFT、DeFi、DAOなど新しい概念です。
Web3は私たちの生活を一変させるものと期待されているのです。
なお、Web3は、Web3.0とも呼ばれます。

Web3の歴史


Web3は、1,990年代のWeb1から発展してきました。
インターネットが一般に開放されて以来、現在まで急速に進化しています。
当時はISDN通信でなんとか接続しホームページが閲覧できて喜んでいた時代から、30年程度で当初は考えられないようなサービスが登場してきました。
各時代の特徴を見ておきましょう、

Web1(情報の一方通行)

Web1は、1990年代にはじまりました。
それまでユーザーの限られていたホームページやメールのサービスが一般個人でも利用できるようになったのが特徴です。
家庭にPCが普及し、Windows95が社会現象となったことも覚えている人もいるでしょう。
PCでネット上のサーバーに接続し、官公庁や企業のホームページを閲覧し、テキストベースのメールを送受信する状況にワクワクしたものです。

Web2(情報の双方向)

2,000年代に入ると、Web2と呼ばれる時代に移行します。
2007年に初代のiPhoneが発売されてから、人々の生活は一変しました。
インターネットは家でPCに向かってやるものという概念を打ち破って、スマートフォン一つで同じことができるようになったのです。
単なるホームページやメールは下火になり、ブログやチャット、SNS、YouTubeというサービスが隆盛を極めます。
これまで一方通行でサーバーに情報を見に行くという状況から、双方向の情報交換が可能になったのが大きな点です。
しかもクラウドというサービスが一般化されたので、個人がサーバーを立ててサービス環境を構築するようなことは少なくなりました。

Web3(経済価値の交換)

2020年になると、Web3が提唱されるようになります。
スマホと一緒に暮らす現実世界から、メタバース(仮想世界)へと移行するようになりました。
メタバース上で人と出会ったり、イベントに参加・買い物をしたりするようになります。
Web3では、ネット上に流通するデータが改ざんされていないことを検証可能とするため、ブロックチェーンという技術が用いられるのが大きな特徴です。
また、スマートコントラクトを使えば、契約や支払いも簡素化できるようになり、さまざまな業種に応用できるようになります。
さらに、AIを活用することで膨大な情報処理も可能です。

Web3のメリット


それでは、Web3になると何が便利になるのか、メリットを見ていきましょう。
Web3のメリットは次のとおりです。

  • デジタルデータを個人が所有できる
  • データの受け渡しに仲介がいらない
  • 誰でもブロックチェーンの恩恵を受けられる

順に解説します。

1.デジタルデータを個人が所有できる

Web2の時代は、デジタルデータをやりとりするために、GAFAM(Google,Amazon,Fcebook,Apple,Microsoft)と呼ばれる巨大プラットフォーマーのサービスを利用しなければなりません。
Web3でのブロックチェーンを使えば、ユーザー同士が安全で確実にデータのやりとりを行えます。
個人情報が漏洩するリスクも減少するのもメリットです。

2.データの受け渡しに仲介がいらない

GAFAMのサービスでは、物品やアプリの販売・動画・サービスの提供に約10〜30%の手数料がかかるのが一般的です。
Web3では、OpenSeaなどさまざまなプラットフォームがありますが、手数料はガス代と呼ばれるものに限定され従来よりも低額です。
ユーザー間のデータ交換がますます容易になるでしょう。

3.誰でもブロックチェーンの恩恵を受けられる

Web3の世界は、誰かが中央集権的にコントロールするのではなく、各ユーザーが一定のルールのもと自立的にやりとりをしています。
国籍や人種・性別などの制約はありません。
だれでも参加できる基盤の上で、自由さが増すでしょう。

Web3のデメリット


Web3のサービスは便利な反面、サービスを含め制度が整備途中で、セキュリティ上の不安もあります。
今後発展していくためには、次のようなデメリットを解消することが必要です。

  • サービスの難易度が高い
  • 詐欺が多く、自己責任の範囲が大きい
  • 法律的な整理や規制がこれから

これらのデメリットを解決するために、新しい職業が必要となってきているのです。
ここでは、それぞれのデメリットについて説明していきます。

1.サービスの難易度が高い

Web3サービス利用者はまだ少なく、マニュアルもわかりやすいとは言えません。
ユーザーが正しい情報を選択して、必要な事項を整理する必要があります。
Web3のサービス事態が日本語化されているものも少なく、慣れていない人にはハードルが高いです。
既存のGAFAMの親切丁寧なマニュアルやサポートと比べると、まだ難易度が高いと言えるでしょう。

2.詐欺が多く、自己責任の範囲が大きい

Web3のサービスは、情報の取捨選択がユーザーに任されています。
サービスの黎明期でもあり、それにつけ込もうとする悪意を持った人がたくさんいるのが現状です。
SNSを使った巧みな誘導もあるので、信頼できる情報かどうかを自分で判断する必要があります。
常にリテラシーの向上を図っていかないと、詐欺にあって後悔することが多くなるでしょう。

3.法的な整理や規制がこれから

Web3は国家や特定の組織が統制しているわけではないので、法的な整備や規制が遅れています。
金融商品の取り扱いや税制は居住する国によって違うこともあり、利用しやすい地域とそうでない地域に差があるのも事実です。
世界全体でも、Web3上の取引の保護や金融資産の規制など進められている最中なので、安心して使えるようになるかは、これからの施策次第となっています。

Web3で生み出される新しい職業


Web3でもたらされるメリットやデメリットを整理していくと、今後必要となる職業が見えてきます。
今後生み出され成長していく分野の職業は、次のものに大別されるでしょう。

  • メタバースやブロックチェーンに関するエンジニア
  • 仮想通貨やNFTの適正管理を指導する金融アドバイザー
  • 膨大で自立的な情報を司るAIエンジニア

1.メタバースやブロックチェーンに関するエンジニア

Web3が発展していく上で、基板となるインフラの充実・整備は不可欠です。
特に、Web3の基幹技術であるブロックチェーンが重要になるのは必然でしょう。
今後利用が広がると、ブロックチェーンの技術を持つ人材はどこからも求められ、価値が上がっていきます。
ブロックチェーンの保全だけでなく、開発や活用の可能性がどんどん広がるため、企業からも求められる人材となるでしょう。

また、今はまだ大きいヘッドセットも、どんどん小さく軽量化していくため、技術開発が求められています。
ブロックチェーン技術の進歩は、Web3の使い心地に直結していくことになるでしょう。

2.仮想通貨やNFTの適正管理を指導する金融アドバイザー

Web3が一般的になっていくと、仮想通貨やNFTの利用が加速度的に増えていきます。
これまでのリアルな金融資産と異なり、バーチャルな側面があるため、金融資産の管理には注意が必要です。
趣味で取得する段階から、資産運用して事業資金を獲得したり老後資金を蓄えたりすることも増えていきます。
仮想通貨やNFTなどの金融資産を専門とするトレーダーや、資産運用に関するアドバイザーやプランナーなどの専門家の需要が増大するでしょう。
現実社会でも必要な専門知識が、メタバースの世界でもより深い専門知識を持って必要とされていくのです。

3.膨大で自立的な情報を司るAIエンジニア

ブロックチェーンの技術により、改ざんが難しいデータが自由に取引される機会が増えています。
個人の趣味嗜好・行動特性に紐付けられたデータも爆発的に増え、それを必要とする企業などに情報提供されることが多くなるのが特徴です。
このような膨大なデータをさばくために、AIの技術は必要不可欠になります。
中央集権的に統制するのではなく、自立的に分散管理するしくみだからこそ、AIを活用して持続可能な情報管理が必要なのです。
AIの特性を理解して活用するエンジニアの必要性は、ますます高まっていきます。

まとめ


Web3はまだ新しい概念であり、次世代の生活を一般化させると期待されています。
そのメリットは次のようなものでした。

  • デジタルデータを個人が所有できる
  • データの受け渡しに仲介がいらない
  • 誰でもブロックチェーンの恩恵を受けられる

このような社会を実現するため、次のような新しい職業へのニーズは大きくなっていきます。

  • ブロックチェーンエンジニア
  • 金融アドバイザー
  • AIエンジニア

これらに代表される職業は、Web3の基盤を支え有効活用していくために、今後必要とされていくでしょう。
Web3によってさまざまな新しいサービスが生まれていく今、Web3をしっかり理解し、今後生み出される職業を知るきっかけとなれば幸いです。