など『メタバース』がどんなものかわからないという人はいるのではないでしょうか?
メタバースとは空間的に離れている物同士で繋がれる場所、つまり「インターネット上で作られた仮想世界」を指す言葉です。
今日はメタバースについて、その言葉の意味や本質、これからどうなっていくのかを踏まえながら、始め方まで紹介していきます。
メタバースとは?
メタバースとは「インターネット上に作られた仮想世界」、もしくはそのサービスのことを指します。
高次元という意味の「メタ」と、宇宙や世界を表す「ユニバース」を組み合わせた造語がメタバースです。
その概念は、1922年に出版されたSF小説『スノウ・クラッシュ』に登場するネットワーク上の世界という形で登場しました。仮想世界を扱った小説や創作物はそれ以前にも登場していましたが、メタバースという言葉で著されたのはスノウ・クラッシュが初めてです。
メタバース内では、年齢や人種、性別に関わらず自由なデザインのアバターを作り、自分自身の分身として所有します。
アバターは、メタバース内を自由に移動可能で、服を着替えたり、食事をしたり、他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、現実世界の日常と同じような行動が可能です。
日本の創作の中では『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』でメタバースが扱われており、創作の舞台としても近年ポピュラーになってきましたが、現実でもすでにメタバースは存在します。
例えば『どうぶつの森』や『Fortnite』、『Minecraft』が有名です。
こう聞くと「なんだゲームの中のことなのか」と思う人もいるかもしれませんが、様々な分野でメタバースが活用され始めています。
メタバースが注目されている理由
ゲーム分野で発展してきたメタバースですが、なぜこんなにも注目されているのでしょうか?
様々な理由がありますが、注目すべき3つを紹介します。
- 既存ビジネスの発展
- ブロックチェーンとの親和性
- Web3の広がり
既存ビジネスの発展
メタバース内では今あるビジネスを発展させることができます。
販売業
例えば、大手メーカーや小売店がメタバース内に店舗を出展し、メタバース内で売買が行われているという事例が既にあります。
有名な企業だと『NIKE』『adidas』『三越伊勢丹』がそれぞれメタバースを構築し、現実の店舗と同様に商品を購入することが可能です。
Amazonなどのインターネット通販との違いは、直営店のスタッフの接客を受けながら買い物が出来ることや、事前に身体データを入力しておくことで、服のサイズや靴のサイズなどフィットするものを購入することができます。
エンターテイメント
また、メタバース上でライブが行われることもあります。
世界的なアーティストのジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデがメタバース上でデジタルライブを行い、話題を集めました。
ライブ中はアーティスト本人が扮するアバターがメタバース上でライブを行い、そこに参加するオーディエンスも会場内にアバターを置いたり、声援やコメントを送ることができます。
物理的な距離や動員などの空間的な制限に関わらないメタバースを、ライブ事業に用いた例です。
現地で行うライブと同じように気持ちを高揚させられるのか?など試行錯誤されている段階ですが、移動費用や会場費用など様々なコストを抑えられるというメリットもあります。
不動産
不動産の分野でもメタバースが活用されています。
仮想空間に現実世界を建物や街を作り、実際の住み心地をリアルに体感するサービスを2022年9月から『住友不動産』が提供しています。
海外や遠隔地に住んでいながら、物件の内覧が可能で天井の高さや窓の形など、これまで現地に行かなければわからなかった情報を、スタッフのアナウンスを受けながらメタバース内で確認することができるようになりました。
コロナが世界的に広がり、外での活動が制限される中、様々なビジネスでメタバースが急速に発達してきました。
ブロックチェーンとの親和性
『ブロックチェーン』との親和性が高いこともメタバースの特徴です。具体的に言えば最近話題の『NFT』や『仮想通貨』が大きく関わってきます。
メタバースの仮想空間の中には、デジタル上で作られた様々なコンテンツが存在します。例えば、メタバース上ではアバターに着せる服や、アバターが住む家なども必要な場合があります。
この服や家はNFTと呼ばれ、ブロックチェーンで価値を証明されています。このNFTを得る対価として、仮想通貨を支払うという構造がメタバース上に存在します。
メタバース内に人が集まることで需要と供給が生まれますが、それを満たす経済のシステムとしてブロックチェーンとの親和性が高いとされているのです。
さらに、ブロックチェーン技術によって、疑似的なタイムスリップもできると言われています。
ブロックチェーン上に、これまでのメタバースでの行動を記録しておくことで、やり直しができる世界を作ることも可能になります。
Web3の広がり
メタバースと関わる様々な技術やビジネスが日々誕生しています。
メタバースを含めたインターネット上の新たな革新を、大きな流れとして『Web3』と呼びます。これまで我々が使ってきたインターネットは『Web1.0』『Web2.0』と呼ばれており、ホームページなどで一方通行の情報を得られるのがWeb1.0、自らも情報発信でき相互的なコミュニケーションが取れるSNSなどはWeb2.0と定義されます。
それに対し、Web3では脱権力をテーマに分散型のインターネットを目指しています。
Web2.0の世界は中央集権の世界でした。
例えば、トランプ大統領のTwitterアカウントがTwitter社によって凍結されたという出来事がありました。
一国の大統領が一つの企業の判断によってSNSから締め出されるくらいに、現在プラットフォームを持っている会社の存在は大きくなっています。
Web3は大きくなりすぎた中央集権の世界を、もっと民主化していこう、利益を分散させていこうという考えの基に作られています。
Web3の世界はこれからさらに広がっていくことが予想されており、メタバースの役割も拡大していくと考えられています。
メタバースの将来性
「メタバースは一過性のものじゃないの?」という声も聞きます。
確かに、普通に暮らしている分にはあまりメタバースの生み出す利益を感じられないという人も多いかもしれません。
しかし、結論から言ってこれから確実に成長する分野です。
権威的な視点から見れば、世界的に大きな企業がメタバースに投資をしています。中でも『facebook』は社名を『Meta』に変更し、これから到来するメタバースの社会に大きな期待を寄せています。
メタバースの代表的な会社でもある『Animoca Brands』は『The Sandbox』というメタバースを構築しており、仮想通貨を利用することで、メタバース上の土地を購入することが可能です。
購入した土地の中で、所有者は事業を立ち上げたりイベントを開いたり、はたまた土地を売却したり貸し出したりと、まるで領主になったように世界を作っていくことができます
技術面から見ても、メタバースはこれから注目されていくでしょう。
先にも述べたメタバースを含めたWeb3の根幹技術であるブロックチェーンは、すでに活用され始めています。例えば、契約書にハンコやサインのいらない『スマートコントラクト』はブロックチェーン上で管理されていますし日本の『JASRAC』も著作権のトレーサビリティ管理のためにブロックチェーン技術を導入しています
ブロックチェーンが我々の生活を支え始め、メタバースの必要性もこれから増えていくことが予想されます。
メタバースの本質
メタバースの本質は、誰でも自由に自分の世界をネットワーク上に作ることができる、という点にあります。
すでにあるメタバースにはビジターとして訪問することができ、誰かが作った世界のサービスを受けることができますが、自らも世界を作ることができます。
もっともお手軽な例をあげると、どうぶつの森も自分の島を作っていろいろな人を招くこともできますよね?
さらにメタバースの本質に近いのは先に触れたThe Sandboxなどのメタバースのプラットフォームを提供しているゲームです。仮想通貨でデジタル化された土地を買うことで、様々なサービスを自ら発信していくことができます。The Sandboxではゲーム内の機能を使用してNFTを製作したり、誰でもオリジナルのゲームを作れたりと、様々な可能性を自らが創造していくことができます。
自らが選んだ物や人、サービスを作ることで、自分だけの世界を誰でもネットワーク上に構築できる、ということがメタバースの本質です。
メタバースと関係の深いもの
メタバースを理解するために、関係の深い技術や用語を紹介していきます。
VR
メタバースの世界を体感するためには各社の提供するVRゴーグルが必要です。よくメタバースとVRは混同されますが、メタバースはネットワーク上に作られた世界のことを指し、その世界に自分を投影するための技術がVRです。
メタバースの発展にはVR技術が、どのように一般に普及していくのかが大きな課題となっています。
Web3
ブロックチェーンをはじめとした、分散型インターネットの総称。中央集権型のインターネットWeb2.0に対し、脱権力を目指した発展型としてWeb3と呼ばれます。
メタバースを支える技術の多くはWeb3に関連する技術によってもたらされており、メタバースもWeb3に含まれます。
NFT
NFTはブロックチェーン上でトレーサビリティを担保された、デジタル情報を指します。
近年ではアートや音楽をNFT化して、アーティストの著作権を守ろうという動きが活発になっています。
NFTアートの中には非常に高額な金額で取引された例もあり、話題を呼びました。
メタバース上では、アバターや所有物の唯一無二性を証明するために利用されています。 NFTについて詳しく触れた記事も掲載しているので合わせて読んでみてください。
2022年代表的なメタバース
2022年現在、特に注目されている代表的なメタバースを紹介していきます。
The Sandbox(ザサンドボックス)
The Sandboxは人気ゲームMinecraftと同じく、ボクセルで表現された世界のメタバースです。
他のユーザーが作ったゲームや世界を楽しめたり、コミュニケーションを取ることを楽しむゲームです。
LANDと呼ばれるデジタル上の土地を、コインチェックをはじめとしたNFTマーケットプレイスで購入することもでき、自由度も高くNFTや仮想通貨を使って実際に稼ぐ人もいるので特に注目されるメタバースの一つです。
今話題の『DAO』によって運営されており、ユーザーはLANDを購入することでプロジェクトに参加できます。
Decentraland(ディセントラランド)
Decentralandは企業の参加も多いメタバースで、イーサリアムのブロックチェーンを利用した「MANA」が基軸通貨として利用されています。
ユーザーはすでに用意されているゲームで遊ぶこともできる以外にも、LANDを購入して自ら様々なサービスを提供することができます。
The SandboxやDecentralandは、その自由度の高さからWeb3に最も近いメタバースの一つです。
Fortnite(フォートナイト)
メタバースゲームの中でも、世界中で人気なFortniteは、仮想のフィールドでプレイヤー同士がバトルロワイヤルで戦うゲームです。
最近ではゲームの中で有名アーティストがライブを行ったり、戦うだけではない自由な空間を提供している点が注目されています。
Horizon Workrooms(ホライゾンワークルームス)
Meta社の提供する、仮想空間上で会議を行えるメタバースです。
VRゴーグルを使用することで、目の前のアバターとリアルに近い空間でミーティングが可能です。
VRゴーグルを持っていなくても参加できるのもポイントで、ゲームとは違ったメタバースの活用法として注目されています。
メタバースの始め方
>ここまで読んでメタバースについて興味が出てきたという人に、メタバースの始め方も紹介していきます。
ここではThe Sandboxを例に紹介していきます。
The Sandboxに登録
The Sandboxのホームページから
- アカウント作成
- エディターのダウンロード
を行います。
MetaMaskの作成
MetaMaskはメタバース上で使用する仮想通貨を管理するためのウォレットです。
ウォレットには様々な種類がありますがMetaMaskはGoogleアカウントを持っているなら、誰でもすぐに作成可能です。
詳しい利用の方法は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
仮想通貨取引所の口座の開設
The Sandboxではイーサリアムのブロックチェーンを利用した『SAND』という基軸通貨が用いられています。そのほかメタバース内でも仮想通貨を取り扱う機会は多く、仮想通貨取引所の口座をあらかじめ解説しておくことで、よりメタバースの世界を楽しむことができるでしょう。
また仮想空間上の土地であるLANDはコインチェック上で販売されています。
詳しい利用の方法は以下の記事を参考にしてみてくださいね。
まとめ
メタバースについて、詳しく解説しました。これからますます拡大していくことが予想されるメタバースの世界。
いち早く情報をキャッチしておくことで、新たな世界の到来をより身近に体感できるでしょう。
この記事を読んで、興味が出たら是非メタバースに挑戦してみてはいかがでしょうか。